最近防災リュックを購入して、子供と一緒に中身を確認しながら、災害が起こった時の話をしていた。
「もし、火事があったら、このバッグを背負ってすぐに逃げるのよ!兎に角逃げるのよ!」と言った。
何で火事の場合の話になったのかは、忘れたけれど。
「えー!!このぬいぐるみさん達は?どうするの?!」
と、悲痛な顔をして大量のぬいぐるみ達の山を指さした。
あまりの悲痛な顔に、こっちがびっくらこいた。
「そんなの、また買ってあげるから、ほっといて行くの!ぬいぐるみはまた買えても、命はもどらないんだからね!」
と言った、その日の就寝前。
長女と次女のパンパンに膨らんだリュックと、パンパンの手提げカバンが複数個、キッチンの床にころがっていて、つまずいたりして、邪魔でたまらなくてイライラしながら
「なんで、こんなところに、こんな物を置いているの!」
と怒ったら、子供達が
「その中に、私たちのぬいぐるみ達が全て入ってるの!これで、火事がおきても、すぐに一緒に家から出れるでしょ?こんな風に」
と、パンパンでボコボコのリュックを背負ったり、はち切れそうな手提げを両手に持ったりと、レクチャーしながらニコニコしながら言われた。
何やら二人でごそごそと一生懸命していたのは、コレか。
どうやら、ぬいぐるみ達は子供達にとって、代わりのきかないかけがえのない物らしい。
同じのを買えばいいじゃん!…って言葉を放った私は、いつのまにかうす汚れた大人の世界にドップリとつかっていて、子どもの世界が全く見えなくなっていたらしい。
自分が完全な冷たい大人の言動を自然にしてしまったことに、自分で自分にがっかりした。
いや…でも流石にあの量のぬいぐるみは持って逃げるの無理だと思うよ。まぁ、そこは問題じゃないけどさ。
あとから冷静に考えたら、火事になったら防災リュックでも、背負ってる場合じゃないよな…とぼんやり一人で心の中で笑ったのでした。