晩年、静かなる大崩落のような破滅に向かう人は、理想が高くて、頑固で、完璧主義で、粘り強くて、真面目なタイプ。
端的にいうと「高潔」なタイプだ。
自分の老化や時代の流れによって、自分の今まで築き上げてきた「秩序の塔」を維持するのがもう困難である状況なのに、なお完璧なまま維持しようとしている「高潔」なタイプ。
自分の理想でない姿を受け入れれないタイプ。許せないタイプ。そう、ストイックなんだ。
もう、今の状態じゃあ、自分の「秩序の塔」を維持するのは難しいのに、何とか維持しようと頑なにもがいている。
その結果、維持する為のエネルギーを周りから無理やり奪う方向に向かう。
高潔な人間であればあるほど、自分の秩序の崩壊が我慢でない。だからエネルギーの質に拘らず、どうにかしようとする。その為、愛エネルギーではなく、憎悪エネルギーを多大に利用するようになる。
自分の「秩序の塔」を保ち続けるために、他人から無理にエネルギーをもぎ取る。それも、憎悪エネルギーを大量に生み出して。
見境なくエネルギーを得るのに必死になる。
そして周りが見えなくなる。
自分の何が何でも守りたい「秩序の塔」の状態しか見えなくなる。
高潔なタイプが巨大な権力をもっていると大変だ。
ヒトラーがきっとそうだ。彼は高潔すぎた。彼は彼の中の理想の姿に囚われすぎた。
時代の流れを受け入れずに、もう大分ガタが来ている「秩序の塔」の保持に固執し、最後は糸が切れるような、大崩落のような破滅に向かった。
モノクロの血だらけの混乱の世界で、「高潔」な彼らが見ているのは、今にも崩れそうな、時代錯誤の「秩序の塔」だけだ。
その虚しい「秩序の塔」が倒れない様に、何も知らないうちに、多くの人達が、血をダラダラと流しながら必死に手で支えることを強いられている。
そして、きっと、彼らはそれを馬鹿げたことだと知っていたとしても、もうその手を離すことができなくなってしまっている。
離した瞬間、自分達が塔の下敷きになってしまう事を知っているから。
支える人達は、高潔な彼らに利用され、取り込まれてしまった。
極端な性質は極端な結果を生む。
「高潔」はダイヤモンドのようだ。
ものすごく硬い。そして砕け散る時は一瞬だ。
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