呪われた身体。
私はこの呪われた身体から脱出することができない。
暑さも、寒さも、喉の渇きも、空腹も、外部の自分に触れる環境全てを受け止めて勝手に反応する、この身体から。
このちっぽけなせまっ苦しくて、煩わしい容れ物から、ほんの少しの間だって、解放されることはない。
この呪われた身体という乗り物とくっついてバランスを取りながら一緒に走るしかない。
エネルギーを摂取して、廃棄物を撒き散らしながら走っていく。
色々なものを犠牲にしながら、それでも走っていく。
この神様から呪われた身体のおかげで、走れる。遠くまで行ける。
満たされない苦しみがなければ、満たされる喜びはない。
きっと、本当に自由だったら、きっと何処にも行こうと思わない。
人間は呪われた自由でない身体をもっているから、自由を求めるんだ。
一人では生きれないほど弱いから、孤独を恐れて他人を求めるんだ。
この呪われた身体は神様からのプレゼントだと信じたい。
「生きる」素晴らしさを体験して知れる、この呪われた身体の特別乗車券に私は当選したんだ。
相反するものを同時にもてることこそが、「生きる」という魅力なのだろう。
だから、「苦しさ」も諦める。
「楽しさ」を手放したくないから。
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